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下宿生アタマ。

下宿男子大学生がアタマから漏れでたことを書き残します。

駅レポート 生駒鋼索線・霞ヶ丘駅

こんにちは。クモミヤです。

今回は生駒鋼索線の訪問記です。

訪問:16.9.6

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高知の旅のあと、18きっぷが余ったので、出かけることにした。

奈良にいたころに慣れ親しんだ近畿日本鉄道近鉄が、2016年春から駅ナンバリングを導入した。関西圏の私鉄(大阪市営地下鉄阪神・阪急・南海・山陽など)に遅れての導入であり、JR西日本の路線記号導入とほぼ同じタイミングである。近鉄駅名標を駅番号を記載したものに取り換える作業を主要駅から順次行っていたのだが、このたび生駒鋼索線も作業が済んだようなので、久しぶりに行ってみた。

ちなみに、生駒鋼索線へは2009年夏、2010年春、および2011年冬にも訪問している。今回はこの時の写真も織り交ぜつつ紹介してゆく。

 

奈良県生駒市生駒鋼索線は日本初のケーブル線である(鳥居前~宝山寺間1918.8.29開業)。1914年に大阪電気軌道が現在の近鉄奈良線を開業させた後、宝山寺門前町として発展した生駒において、生駒鋼索鉄道宝山寺参拝の利便性向上のために建設した。後に生駒鋼索鉄道大阪電気軌道に合併され(1922)、生駒山上まで延伸(1929)、その後戦時中の休止や社名の変更を経て、現在の近鉄生駒鋼索線に至る。(参考:『近畿日本鉄道 100年のあゆみ』)

生駒鋼索線宝山寺(2駅:鳥居前・宝山寺)と山上線(4駅:宝山寺・梅屋敷・霞ヶ丘・生駒山上)の2系統に分かれており、生駒山上へは宝山寺で乗り換えるカタチになる。このうち宝山寺線沿線は住宅が多く、通勤通学の利用客も多い。対して山上線は生駒山上遊園地へのアクセスルートとなっており、同遊園地への訪問客が乗客のメインである。

今回の訪問は余った18きっぷを使うのが目的なので、近鉄奈良線を使わずに、JR大和路線→王寺のりかえ→近鉄生駒線で大阪から生駒に移動。昼食を確保して、ケーブルに乗り込んだのであった。

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鳥居前駅・外観(2009夏撮影)

鳥居前駅生駒駅と歩行者用デッキで接続されている。今回訪問の際、外観の写真を撮っていなかったので、初回訪問時の写真である。現在も、外観の大きな変化はない。

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鳥居前駅・ホーム(2016年夏撮影)

宝山寺線は単線並列である。左が1号線、右が2号線。普段は1号線が使われるが、1号線の点検の際は2号線が使われる。この日は2号線が動いていた。なにげに乗ったことが無かったのラッキーだ。

車両は左がコ11型「ミケ」、右がコ3型「すずらん」だ。ミケは「ブル」と、すずらんは「白樺」と一緒に動く。

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鳥居前駅駅名標(上:2009年夏撮影、下:2016年夏撮影)

上は1号線側、下は2号線側の駅名標。上の駅名標が従来型(とはいえ、当時にしては古いタイプが残っていた)、下がナンバリング導入後の駅名標。起点駅なのに「Y17」なのは生駒駅の「A17」「G17」に数字を揃えているからである。ちなみに、「17」は大阪難波駅からの駅数に一致する。

 

ここから、宝山寺線に乗車。ものの5分ほどで宝山寺駅に着く。

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宝山寺駅・外観(2009年夏撮影)

宝山寺駅はスルーしたのでこの写真で。奥側が山上線、手前側が宝山寺線。

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山上線側のホーム(2009年夏撮影)

写っているのはコ15型「スイート」。奥に見える宝山寺トンネルをくぐって山頂をめざす。

写真は少しブレている。技術が未熟なのか、カメラが古かったか(^^;

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山上線の0キロポスト。(2016年夏撮影)ホームの下にペイントされている。

 

ここからは山上線に乗車。宝山寺線よりも勾配が急なためか、車両の傾きも急である。

さて、、これに乗って、あの駅に行こうーーー

 

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ここで、一度過去のハナシをしよう。

2009年夏、小6の僕は「鉄子の旅横見浩彦・菊池直江 小学館)」を読み、見事に感化されてしまう。横見浩彦氏は日本の鉄道駅全駅下車を達成した方で、僕はその「駅」にスポットを当てた鉄道旅に俄然興味が湧いたのであった。
その後小遣いをはたいて、まずは地元から、と「生駒市全駅下車」を実行。生駒市内の駅はたったの15駅なので一日で終わったが、ここで鉄道旅の愉しみを覚えてしまったのだ。
ちなみに、その後「近鉄難波・奈良線全駅下車」「近鉄けいはんな線全駅下車」「近鉄生駒線全駅下車」を経て、中1になる春に「奈良県全駅下車」も実行した。最近は「全駅下車」からは遠ざかってこそいるものの、僕の「テツ」成分の基盤は「生駒市内全駅下車」であり「鉄子の旅」である。
(前回訪れた坪尻・土佐北川・新改の3駅も、「鉄子の旅」での訪問順である)

さて、この「生駒市内全駅下車」で生駒鋼索線を訪れたのが、同じく2009年夏のことである。
その時、ある駅を訪れたのが、ある種僕の原点かもしれない。
その駅こそ…山上線の途中駅、霞ヶ丘駅である。

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霞ヶ丘駅(2009年夏撮影)

降りたとたん、衝撃であった。

駅はホームと上屋だけ。近くには踏切と登山道のみ。あとは森、笹、山。人家なんて一切ない。クルマで来れない。ホームは苔むしていて、上屋もなかなか年季が入っている。曇り空も手伝って、空気がよどんでいるようだ。

誰もいない。誰も自分がここにいると知らない。誰にも連絡ができない(当時、携帯電話は持っていなかった)。夏休みの多客期なので宝山寺生駒山上の「直行」のケーブルこそ走るものの、この駅に停まるケーブルまで40分もある。音といえばケーブルの作動音と蝉の音。本当に人っ子一人いない。見通しも利かない。舗装路もない。…味わったことのない外界との断絶、そして孤独。

…日本全国、探せばここと似た構造・環境の駅はそこそこの数あるはずだ。しかし、初めて生身で体感した小6男子には、「40分も山の中で一人」なのが怖かったのか、それとも自分の置かれた状況に興奮していたのか、とにかく何かを叫びまくっていた記憶がある。…はたから見たら少々小柄な変質者だが。

こうしてこの駅は、一人の少年に並々ならぬインパクトを与えてしまったのであった…

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霞ヶ丘駅(2011年冬撮影)

その少年は、中学生になってもまた来てしまう。が、駅は様変わりしていた。年季の入った上屋は撤去され、苔むしたホームは滑り止めの加工がなされ、LED照明もついた。駅名標も取り換えられた。キレイになっていた。以前のような空気が淀んだ感はない。ホームから青空と生駒の街が望める、開放的な駅になっていた。自身に衝撃をもたらしたあの駅はもう無い。が、ただただ見捨てられて朽ちていくよりも、キレイになって使われる方がいい。少年は妙に納得して山を下りていった。

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霞ヶ丘駅(2016年夏撮影)

そして大学生になって引っ越しもしたのに、また来てしまうのだった。5年の風雨にさらされたためか、滑り止め加工が所々剥げて元々のホームが見えているところもあった。駅名標にはステッカーでナンバリングが施されていた。が、その他変わった様子はない。初めてここに来た時と同じように、蝉が鳴いている。

坪尻での2時間滞在なんてやってのける今となっては、あれだけビビって叫びまくっていた霞ヶ丘40分滞在など、あっという間である。「先月も山ン中(坪尻・新改)に行ったのに、また山ン中…何やってんだオレ」なんて自己の生活を冷静に分析すれば、時間はすぐに過ぎていくものである。

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霞ヶ丘第1号踏切(2016年夏撮影)

霞ヶ丘駅の入口横には踏切がある。ここはおそらく「日本一急勾配な踏切」だ。近くの勾配標によると、ここの勾配は333.3‰。‰は「パーミル」と読み、333.3‰は「1000m進むと333.3mの高低差がある」勾配を示す。

そもそもケーブルカーの踏切自体珍しい(構造上、踏板がスキマだらけになってしまうため)。「ケーブルカー 踏切」でググっても近鉄以外のものにヒットしない。近鉄にはケーブルカーの踏切が全部で7個あるが、その中でも霞ヶ丘1号踏切は最も勾配が急である。もちろん普通鉄道の踏切よりも勾配は急(普通鉄道は最急で80‰)なので、ここが日本一ではないか、という論理である。

2枚目の写真は、駅の反対側から撮ったもの。写っているのはコ15型「ドレミ」。なにげにこちら側の灯器が全方位式に交換されていた。

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上:コ15形「ドレミ」、下:同「スイート」(2016年夏撮影)

…やはり、誰も降りない。

ちなみに、こちらに片方が停車している間、相方は梅屋敷駅に停車している。

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霞ヶ丘駅駅名標(上から、2009年夏、2011年冬、2016年夏)

霞ヶ丘駅駅名標変遷である。2枚目のピンボケはご容赦願いたい。

1枚目は2009年のもの。近鉄各駅でホームに自立しているタイプのものにみられるのと同じ、ひらがなが大きく書かれたものだ。デザイン自体は鳥居前駅のものよりも新しい。

2枚目は上屋撤去後のもの。駅ナンバリング導入以前で最も新しいデザインのものであり、かつては上屋にぶら下がっていた運賃表や案内と一体化したものである。梅屋敷駅に同様のものがあるが、こちらには運賃表はついていない。

そして3枚目が駅ナンバリング導入後のもの。ステッカーによる更新なので、地は2枚目のものと変わらない。オレンジ色の線が消えた他、ローマ字表記が小文字交じりのものになっている。近鉄各駅において、主要駅の駅名標や古い駅名標駅名標ごと更新したようだが、比較的新しい駅名標はステッカーによる更新のようだ。両者は、駅名漢字表記の中心が駅名標の中心にあるかないかで見分けることができる。この記事の、霞ヶ丘の”ヶ”、鳥居前の”居”を見比べてもらったらわかるかと。非常に誰得な情報だが。

 

このあと、登山道を下って梅屋敷駅へ。山上線に並行して登山道があり、ケーブルを使わずとも生駒山上に行くことができる。舗装もされているのでハイキング感覚で行けるが、森の中を突っ切るので見晴らしは全く利かない。

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梅屋敷駅(上:2009年夏、下:2011年春)

宝山寺と霞ヶ丘の間にある途中駅。ここも無人駅だが、付近に住宅が数件あるほか、宝山寺に裏側からアクセスできる。きちんと存在意義のある当駅に対し、霞ヶ丘駅は「梅屋敷駅にケーブルカーが停車している間、もう片方のケーブルカーが停まるところに作った駅」なのである。

2009年に初めて訪れた際は上屋があり簡単な改札の構造もあったが、2010年の夏ごろに撤去工事が行われたようだ。また、なにげに勾配標の数値も小数第一位までの表記になっている。

今回(2016年)の訪問の様子は後述する。

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宝山寺第1号踏切と梅屋敷駅(2016年撮影)

梅屋敷駅では、保線の方がホームの白線を引き直していた。そのため写真は撮っていない。2011年に訪問した時と大きな変化はない。

ここの踏切も駅側の灯器が全方位式に変わっていた。

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梅屋敷駅駅名標(上から、2009年夏、2011年冬、2016年夏)

梅屋敷駅駅名標変遷。霞ヶ丘と基本的に一緒である。運賃表は駅舎に掲示されている。

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梅屋敷駅から生駒の市街地を見下ろす(2016年夏撮影)

霞ヶ丘よりも開けているので、生駒市街がよく見下ろせる。生駒線の生駒~菜畑~一分~南生駒あたりを走っている電車も良く見える。

 

ここから、ケーブルで生駒山上駅へ。

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生駒山上駅・駅舎。(上:2009年夏撮影、下:2016年夏撮影)

駅の看板が変わっていた。ローマ字が小文字交じりなので最近更新されたのだろう。

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生駒山上駅・ホーム(上:2009年夏、下:2016年夏撮影)

ホームに大きな変化はない。今回の訪問時は片面のみを使っていた。

 

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生駒山上駅駅名標(上:2009年夏、下:2016年夏)

ここは駅名標ごと取り換えたようだ。以前の駅名標は"IKOMASANJYO"となる誤植(?)があったが、"Ikomasanjo"に直されている。

 

…さて、帰りましょうか。

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帰りも18きっぷを使いたいので、近鉄奈良線新大宮駅に出て、徒歩でJR奈良駅へ。そこから木津で乗り換え、学研都市線に乗って大阪に帰りましたとさ。めでたし、めでたし。

 

 

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霞ヶ丘駅(2016年夏撮影)

 …結局、近いうちにまた来そうだが(笑)